特定技能外国人に行う事前ガイダンスでやるべきことを初めての方向けに解説します

こんにちは、ノンカテ編集部です。

特定技能外国人を雇用する過程で日本人の採用と異なる点が複数あることはご存じですか?

外国人は日本国民と法律の上で異なり、日本人ならば求められていないことを、外国人に対して実施しなければならない場合があります。

特定技能外国人の場合、その1つが「事前ガイダンス」と呼ばれる入社前オリエンテーションです。

今回は事前ガイダンスとはどのような制度か、実際にどのようなことを注意して執り行うかを説明していきます。

目次

事前ガイダンスでは、外国人にどのようなことを伝えますか?

事前ガイダンスとは外国人が海外にいる状態で、事前に行われる情報提供活動で、特定技能外国人の雇用を行う上で実施が義務付けられています。

事前ガイダンスにおいて伝えるべき内容は『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』によれば、義務的内容と任意的内容の2つがあります

実施に際し、絶対に伝えなければならない義務的内容は、令和7年4月時点における『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』では、次のことを求めています。

  • 1号特定技能外国人に従事させる業務の内容、報酬の額その他の労働条件に関する事項
  • 本邦において行うことができる活動の内容(法別表第1の2の表の「特定技能」の項の下欄第1号に掲げる活動であること、技能水準が認められた業務区分に従事すること)
  • 入国に当たっての手続に関する事項(新たな入国の場合は、交付された在留資格認定証明書の送付を特定技能所属機関から受け、受領後に管轄の日本大使館・領事館で査証申請を行い、在留資格認定証明書交付日から3か月以内に日本に入国すること、既に在留している場合は、在留資格変更許可申請を行い、新たな就労先を所属機関とする在留資格変更許可を受ける(在留カードを受領する)までは、新たな就労先での就労活動は認められないこと)
  • 1号特定技能外国人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく当該外国人の本邦における活動に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されず、かつ、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約の締結をしておらず、かつ、締結させないことが見込まれること(保証金等の支払や違約金等に係る契約を現にしていないこと及び将来にわたりしないことについて確認する。)
  • 1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約の申込みの取次ぎ又は外国における特定技能1号の活動の準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合は、その額及び内訳を十分理解して、当該機関との間で合意している必要があること(支払費用の有無、支払った機関の名称、支払年月日、支払った金額及びその内訳について確認する。)
  • 1号特定技能外国人支援に要する費用について、直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしていること(義務的支援に要する費用は特定技能所属機関等が負担する。)
  • 特定技能所属機関等が1号特定技能外国人が入国しようとする港又は飛行場において当該外国人を出迎え、特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)までの送迎を行うこと
  • 1号特定技能外国人のための適切な住居の確保に係る支援の内容(社宅等を貸与予定の場合は広さのほか、家賃等外国人が負担すべき金額を含む。)
  • 1号特定技能外国人からの職業生活、日常生活又は社会生活に関する相談又は苦情の申出を受ける体制(例えば、○曜日から○曜日の○時から○時まで面談・電話・電子メールの方法により相談又は苦情を受けることができること等)
  • 特定技能所属機関等の支援担当者氏名、連絡先(メールアドレス等)

運用要領はとても長くて読みにくいですね。

要約して、かつ似ている内容をグルーピングすると、次の6つが伝えるべき事として義務付けられています。

  • 労働条件および報酬、業務内容、日本での在留資格の範囲内での活動が認められていること
  • 海外にいるものには入国手続き、国内にいるものには在留資格変更許可申請が必要なこと
  • 財産を不当に管理されず、また違約金を定める契約、不当な契約を締結せず、将来にわたって締結しないこと
  • 特定技能外国人になる為に取次ぐ者がいるならば、その者の名称と支払った額、支払日及びその内訳
  • 特定技能外国人に行う支援に要する費用は、直接または間接に負担させないこと
  • 送迎の義務、住居支援、相談や苦情の窓口、支援担当者情報

対して、次の内容は任意的内容として、伝える内容がある場合は伝えるのが望ましいです。

  • 日本の気候風土
  • 持ち物や服装
  • 当面の生活費
  • 会社支給品

私が行う場合には、技能実習生を終えた者が特定技能に移行したい者がほとんどの為、既に日本国内にいて、日本についてある程度知っている者が多いです。

なので、事前ガイダンスでは業務や支援体制、担当者情報といった義務を明示しつつ、会社のあり方や会社に勤める外国人の国籍や性質、周辺の観光地など、会社や地域に関わる情報も伝えるようにしています。

事前ガイダンスはいつ頃までにどのように行いますか?

事前ガイダンスは、外国人が海外にいる場合には在留資格認定証明書の交付の申請前に、既に国内にいる場合には在留資格変更許可申請の前に行います。

実施方法は対面の他、テレビ電話やインターネット経由のビデオ通話などが認められています。

文書の郵送やメールで送信するだけでは事前ガイダンスを実施したとは認められません。

また、外国人が理解できる言語にて行うことが求められていますので、必要に応じ通訳を同席させたり、母国語の資料を用意したりする必要があります。

最近だと、AIや翻訳ツールの精度が良くなっていますので、資料作成や伝えたい事の翻訳に活用できますね。

事前ガイダンスは何時間行うのですか?

事前ガイダンスは3時間程度の実施を求められています。

仮に、既に日本に居たり、または技能実習からそのまま特定技能へ移行する者の場合、短くすることが認められていますが、それでも1時間以上であるのが望ましいと考えられています。

『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』では次のように求めています。

事前ガイダンスは、1号特定技能外国人が十分に理解できるまで行う必要があり、個別の事情によりますが、事前ガイダンスで情報提供する事項を十分に理解するためには、3時間程度行うことが必要と考えられます。また、技能実習生等を同一機関で引き続き特定技能外国人として雇用するような場合であっても、1号特定技能外国人に従事させる業務の内容、報酬の額その他の労働条件など必要な情報について十分に理解させる必要があります。なお、このような場合、1号特定技能外国人支援計画上の実施予定時間よりも短時間で終わることが想定されますが、1時間に満たないような場合は、事前ガイダンスを適切に行ったとはいえません。

なお、特定技能1号だった者を、特定技能1号として雇用する場合にも、事前ガイダンスは求められていますので注意が必要です。

事前ガイダンスを実施したら、記録は必要ですか?

事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)を作成して、外国人の署名をします。

この確認書は2026年2月現在では行政に届け出る資料ではありませんので、管理簿に備え付けておいてください。

私が出入国管理庁の監査を受けた時、事前ガイダンスの確認書の提出が求められました。

まだ、特定技能制度が始まって間もない時だったので、制度を理解してもらえているかを監査されているようなやり取りでしたが、少なくとも監査対象として見るポイントの1つになっているようです。

事前ガイダンスは外国人に安心してもらう為の第一歩です

特定技能外国人を雇用する上で義務的履行として求められている事前ガイダンスですが、その中身は雇用に関する事や支援に関する事、不当な契約締結の阻止といったものでした。

これらは単なる形式的な説明義務ではなく、外国人が安心して日本で働くために重要な情報です。

特定技能制度は、労働力確保のための制度であると同時に、外国人の権利保護を目的とした制度でもあります。
そのため、事前ガイダンスにおいては「説明した」という事実だけでなく、「十分に理解してもらえたか」という視点が重要になります。

特に、保証金や違約金の禁止、支援費用の負担の在り方などは、海外における仲介慣行との違いもあり、誤解が生じやすい部分です。
勤務し始めてから、「事前に聞いていた内容と違う」と思われてしまうと、もちろん外国人にとっては不満ですし、ケースによっては転職されてしまう可能性も出てきます。

また、事前ガイダンスは企業側にとっても、自社の支援体制を見直す機会となります。
支援担当者の連絡体制や相談受付時間などを改めて整理することで、入社後のトラブル防止にもつながります。

特定技能制度は今後も運用の見直しや解釈の明確化が行われる可能性がありますので、最新の運用要領や関係法令を確認しながら、適切な対応を心掛けていきましょう。

事前ガイダンスは、単なる「手続き」ではなく、企業と外国人双方にとっての信頼関係の出発点です。
丁寧な準備と誠実な説明が、安定した雇用関係を築く基盤になるのです。

今回は事前ガイダンスについて記載しましたが、いかがでしたか。

このブログでは、私が実際に経験したことを中心に記事にしていきますので、これからも宜しくお願いします。

もし良かったと感じた方は、SNSで共有したり、「良かったよ」とコメントくれると嬉しいです。

規定と参考文献

関連規定

特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)


第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の内容

  • イ 法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人に係る在留資格認定証明書の交付の申請前(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している場合にあっては、在留資格の変更の申請前)に、当該外国人に対し、特定技能雇用契約の内容、当該外国人が本邦において行うことができる活動の内容、上陸及び在留のための条件その他の当該外国人が本邦に上陸し在留するに当たって留意すべき事項に関する情報の提供を実施すること。

第4条 法第2条の5第8項の法務省令で定める基準は、次のとおりとする。

  • 二 前条第1項第1号イに掲げる支援が、対面により又はテレビ電話装置その他の方法により実施されることとされていること。

上陸基準省令(特定技能1号)

  • 二 申請人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他申請人と社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく申請人の本邦における活動に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されず、かつ、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約が締結されておらず、かつ、締結されないことが見込まれること。
  • 三 申請人が特定技能雇用契約の申込みの取次ぎ又は外国における法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動の準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合にあっては、その額及び内訳を十分に理解して当該機関との間で合意していること。

参考文献

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