登山で必要な飲み物の量はどのくらい? お勧めの計算式や目安を紹介します!

登山に必要な飲み物の量はどのくらい?

登山に持っていく飲み物の量はどのくらいが良いですか? 重いから減らそうと思っています。

喉の渇きを潤す飲み物は、どこかに出かけるときには必須ですよね。

もちろん、登山にとっても飲み物は必須アイテムの一つです。

山の上は涼しいからといって喉が渇かないわけではなく、急登を進んだ先にある休憩ポイントにたどり着いたら、絶景の大パノラマを前にして飲み物を口にしながら一息を付きたくなるものです。

とはいえ、飲み物を運ぶのは自分自身。

なるべくならば荷物は減らして、軽装でラクラク登山をしていきたいですよね。

どの程度の量を持っていくのが良いのか、迷いませんか?

今回は飲み物の量について記事にしていきます。

一般的に定められている量や私が登山計画で算出する飲み物の量について記述するほか、登山に行く時には必ず持っていってほしい飲み物についても紹介します。

今回はこのような方々向けの内容となっています。

  • 登山を初めて行う方や初めて間もない方
  • 登山における適切な飲み物の量を知りたい方
  • 他の方がどの程度の飲み物を背負っているのか気になる方

重いからといって飲み物を不用意に削ると、酷い目に合いますよ(実体験あり!)。

目次

飲み物を減らして登山した私の実体験

私が初めて登山をしたのは茨城県の筑波山ですが、この時の飲み物は500mlの炭酸水を1本だけでした。

意図的に減らしたのではなく、登山とはどういうものか分からず、かつ相談できる方もいなかったので「500mlペットボトル1本あれば十分でしょ」と軽く考えていたのです。

アウトドアやスポーツを日常的に行っていたわけでもなく、かつ山道を歩く経験もなかった私は進むペースが遅く、当初の登山計画の2倍くらいの時間をかけて進んでいました。

季節は夏。山といっても筑波山の標高は877mと低く、登れども気温はそこまで下がりません。

暑さと疲労で失われた水分を補給しようと炭酸水を飲み続けた結果、道半ばですべてを飲み切ってしまいました。

ここから先はどうなってしまったのか分かると思いますが、ゾンビのような状態でぶらりぶらりと登ったのです。

筑波山の見どころといったら、コマ展望台にたどり着くまでにある奇岩地帯と女峰山の山頂です。

岩壁の隙間を通ったり、何かに見立てた大岩を眺めたり、山頂からの景色を一望したり、アウトドアレジャーとして十分すぎるほどの魅力があります。

魅力はあるのですが、その時の私の心理にはそれらの魅力を受け入れるだけの余裕がありませんでした。

喉の渇き、空腹、疲労がコンボアタックを繰り返していて、是が非でもコマ展望台に到着することだけを目的に突き進んでいました。

レジャーは何かを受け入れる余裕があるからこそ、レジャーを楽しめるのです。

ましてや、観光化されているといえど山は山。相応な装備を持たぬ者には相応の代償が待っているのだと痛感しました。

登山における飲み物は重いから削るのではなく、登山計画において適切な量以外を不用意に持っていかない存在です。

飲み物が無くなることは、場合によっては命の危機にかかわります。

今までの登山経験や他の方の積載量、一般的に持っていくと言われている量を参考に、登山における飲み物の量を調整するのをお勧めします。

ちなみに、コマ展望台に着いた私は真っ先に飲食店に入りました。

空腹は最高のスパイスなり。茨城の名水、最高においしかったです!

登山ではどれくらいの飲み物を持っていくの?

飲み物の量は登山経路、天候、気温、登山ルートに要する時間、さらに体形や飲み物を飲む頻度といった個人的なところまで関わってきますので、一元的に言えません。

なので一般的に使われる飲み物の量を算出する計算式と、私が飲み物を持っていく時の目安について紹介します。

登山の飲み物の量を算出する方法

登山の協会である日本山岳ガイド協会では、給水量を次の式で示しています。

給水量(ml) = 脱水量(ml) × 0.7 ~ 0.8

脱水量とは登山によって失われる水分量を意味し、その70 ~ 80%程度を水分として摂取する必要があります。

次に脱水量を算出する計算式は次のように示しています。

脱水量(ml) = 体重(kg) × 行動時間(時間h) × 5(ml)

体内から失われる水分量は同一経路であったとしても、体重の軽い方より重い方が失われやすいとしています。

1時間の登山をする2名の方を例にします。

  • 体重が60kgの方の脱水量は、脱水量 = 60kg × 1h × 5ml = 300ml
  • 体重が80kgの方の脱水量は、脱水量 = 80kg × 1h × 5ml = 400ml

体重が20kg 変わるだけで100mlの差になります。

給水量は脱水量の70 ~ 80%なので、60kgの方は240ml、80kgの方は320mlが水分摂取の目安です。

登山の時に持っていく飲み物の量の目安

私は登山計画を作成する際、飲み物の量は1.5 ~ 2kmで500mlを目安にしています。

もちろん目安なので登山経路や季節、その日の天候や気分、同行する方の登山スキルによって飲み物の量を調整しています。

起伏が少なく平坦な登山道を歩くのであれば汗はかかないので飲み物を減らしますし、角度の急な登山道を登ったり下りたりするのならば呼吸が荒くなり喉が渇くので飲み物は多くなります。

途中で補給できる場合には補給を前提に減らしますし、補給ポイントがダメになっている情報を得た場合には補給なしを前提の量を持っていきます。

この目安は、飲み物が余った状態で下山するケースが多かったです。

余分に持っているのですから本来は削ることも視野に入れるべき状態ですが、今のところ変えようとは考えていません。

登山はアウトドアレジャーですが、滑落や遭難といったリスクを含んでいます。

これらリスクに直面した時に備えて、最低限の装備を持たなければなりません。

「あの時、500mlのペットボトルをリュックに入れておけば良かった」と後悔しても事態は好転しませんので、救助されるまで耐え忍ぶか、自らの足と判断で道を切り開いていく必要があります。

その時、余った飲み物は攻略における必須アイテムとなり、あなたの力になってくれます。

ちなみに、私の体重は60kgで筑波山の登山は登山口からコマ展望台まで3hかかっていました。

計算式に基づく給水量は720ml、私の目安だと1,000 ~ 1,500mlなので、余るのも頷けます。

登山に必ず持っていってほしい2つの飲み物

いざ、登山用に飲み物を買おうとして陳列棚へ向かうと、様々な種類を前にしてどれを手に取るべきか悩んでしまいますよね。

普段からの見慣れているものが良いのか、汗をかくスポーツなのでスポーツドリンクにしておくべきか、さっぱりと飲みたいから水や無糖のものを選んでおくべきか。

結論から言ってしまうと、持っていく飲み物は自由で構いません。

足をつる原因の一つにミネラル不足があるので、ミネラルが含まれているものを選択しておくのも良いですが、好きな飲み物を手にしていた方が気分も上がるので楽しいです。

とはいえ、次の2つはリスクを減らすことを目的に、必ず持っていくことをお勧めします。

「水分補給ならスポーツドリンクの方が……」と感じた方もいるかもしれません。

水を持っていく一番の理由は、飲み物としてではなく、洗浄で使用する為です。

怪我をしてしまったり、虫に刺されてしまったりした時、患部を洗浄するのに糖分や塩分が含まれている飲み物を使用できません。

きれいな水を使って患部を洗い流し、早く処置することで、傷の悪化を防いだり、虫の毒を取り除きやすくなったりと様々なリスクを下げることができます。

また、飲み物が無くなってしまった時には水分補給としても利用できます。

必ず1本は持ち歩くようにして下さい。

暖かい飲み物

これは肌寒い季節に限らず、強い風の吹く場所でも効果があります。

目的地を目指して進んでいるうちには気付かないのですが、いつの間にか体温が下がってしまっている時があります。

体温が下がってしまうと考えが纏まらなくなったり、しゃべろうとしてもろれつが回らなかったり、最悪のケースでは低体温症になって身動きが取れなくなってしまいます。

このような状況になると、自分自身の体内で熱を発するのは難しいので、暖かい飲み物を取って回復する必要があります。

私の経験談ですが、9月末に標高2000m程度の山に登った際、強い風が吹いていました。

本当に強く吹くと身動きが取れなくなるほどの強風で下山するのも難しく、避難小屋を目指して進む判断を取りました。

岩陰に隠れて強風に体をさらさないように気を付けながら進んでいましたが、避難小屋に着くころにはろれつが回らなくなり、四肢の震えが止まりません。

おそらく低体温症になりかけていたのでしょう。

幸いにも水筒に暖かいお茶を淹れていたので、小屋の隅で丸くなってそれを飲んでいました。

時間はかかりましたが、体の震えが収まり、少しずつしゃべれるようになり体調を回復することができました。

雨や風、冷気、強風に体をさらし続けると、知らぬうちに体温を奪われていき、気付けばピンチな状態に陥ってしまいます。

いらないかもしれないし、邪魔になるかもしれないと感じるかもしれませんが、どのような季節でも体を温める術は準備しておくことをお勧めします。

登山ではどのような飲み物がお勧め?

持っていく飲み物は自由とはいっても「効果のあるものを持っていきたい」と考えている方は、塩分とミネラルを摂取できる飲み物を選ぶようにして下さい。

塩分は言うまでもなく、発汗により体内から失われてしまうので、それを補う必要があります。

一般的なスポーツドリンクであれば水分と塩分を補給するのに適した配合をしているので、1本は持っていくと良いかもしれません。

ミネラルについては、足のつりを防ぐ為に摂取するのをお勧めします。

登山によって疲労が蓄積していくと、体内からミネラルが失われていきます。

ミネラルが失われた状態で負荷の大きな動作を取ると体がつりやすいです。

足がつってしまうと身動きが取れなくなり、登山計画に支障が出てしまう恐れがありますので、ミネラルをこまめに摂取するようにして下さい。

飲み物を持って、登山を満喫しよう!

重いけれども必要不可欠な飲み物。

登山では可能な限り重量を削っていきたいですが、飲み物については不用意に削ってしまうと楽しめなくなったり、命の危機に陥ったりします。

無事に下山するのに必要な量を持って、小まめな水分補給をするように心がけてください。

そうすればあなたの心にも余裕が生まれ、楽しいアウトドアレジャーを満喫できるに違いありません。

参考文献

日本山岳ガイド協会 登山のための運動生理学

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